城さん

最近リリースされたFlame2026.2では、BiRefNetの前後の処理が必要なくなったようです。

今回は、コマンドを中心とした内容が多くなります。

Inferenceのコラムから、MatchboxシェーダーのPre / Post BRNを使用する必要がなくなり、”Normalization(正規化)”と”Matte Post-Processing(マット後処理)”トークンを、JSONサイドカーファイルに追加する運用に変更したようです。

/opt/Autodesk/presets/2026.2/matchbox/shaders/から、Pre / Post BRNは削除されています。

inference_builderコマンド

ONNXファイルのようなバイナリファイルに設定を共有する場合、Inference_buillderコマンドからモデルデフォルトのJSONサイドカーファイルを生成する必要があります。

Rocky Linux / macOSのターミナルから上記コマンドを実行すると、オプションコマンドを確認することができます。

ダウンロードしたBiRefNet_HR-general-epoch_130.onnxファイルの階層に移動します。

inference_builder -j オプションからJSONサイドカーファイルを生成することができるので、フルパスでinference_builderを実行します。

私の環境ですが、macOSの場合、2026.2のInferene_builderコマンドを実行すると、マルチスレッディングの問題から強制終了しました。2025.2.5のInference_builderコマンドでは問題なく実行できました。

JSONサイドカーファイルが追加されました。テキストファイルなので、catコマンドから確認することができます。

このJSONファイルは、モデル自体(学習済みの重みファイルなど)ではなく、そのモデルの名前、バージョン、入出力のデータ形式(RGB画像を入力し、アルファマットを出力するなど)を定義した設定情報です。

一般に公開されている機械学習モデルですが、設定情報の本ブログへの掲載は控えさせていただきます。

このJSONサイドカーファイルに、“Normalization”と”Matte Post-Processing”トークンを追加しますが、設定情報にある“SupportsSceneLinear”がtrueではなくfalseなので、シーン参照色空間のフッテージではなく、ガンマ補正されたフッテージ(インターミディエイト参照色空間・ディスプレイ参照色空間)を想定していると思われます。

JSONサイドカーファイルにトークン(セクション)追加

2026.1ではシーン参照色空間にトランスフォームしましたが、2026.2からはインターミディエイト参照色空間(または、ディスプレイ参照色空間)のまま運用が可能になります。

JSONサイドカーファイルには、“Inputs” / “Outputs”セクションがあります。”Normalization” セクションは、モデルが処理を開始する前に入力画像データに対して行う前処理になるので、”Outputs”セクションの前に追加することにしました。この辺は詳しくないので…。

JSONサイドカーファイル読み込んでからONNXモデルをロードまたは実行する際、その設定情報に基づいてモデルの動作を調整(修正)します。

次に”Matte Post-Processing”セクションを追加します。JSONサイドカーファイルの一番下に”PostProcessing”セクションがあるので、

“None”の部分を”Sigmoid”に書き換えます。

モデルの最終的な出力に対してSigmoid関数(任意の実数値を0から1の間の値に圧縮)が適用されます。

Change ModelボタンからONNXファイルを再度選択。

Inferenceノードの出力が、OutMatteになります。ビューポートは、ACES 2.0 – SDR 100nits (rec.709)です。

ビューポートをRawに切り替えて確認。Tagged Colour Space / Date / Matteをタグ付けした時と同じです。

Inferenceパッケージファイル

Inference_builder -p オプションから、Inferenceパッケージファイルの作成することができます。

パッケージしたファイルにサムネールを含めることも可能です。PNGファイルで同じファイル名である必要があります。想定されるファイル解像度は128×94です。

フルパスでinference_builderを実行します。Inference(.inf)ファイルが追加されました。

Change Modelから拡張子をONNXからInferenceに切り替えます。

サムネール付きのパッケージをロードすることができます。

今回は、機械学習モデルのデプロイメントにおけるONNXファイルとJSONサイドカーファイルの役割、そしてそれらが連携する仕組みについて解説しました。

2026.2では、トレーニング済みモデルをInferenceノードだけでなく、SelectiveやGMask Trasorからもロードすることができます。

近日中に、2026.2のアップデート内容をご紹介する予定です。