View Transform (トーンマッピング)

Preferences > Project > Colour Managementタブが左になりました。

以前のリリースと表記が変わっています。

Rec.1886 Rec.709

放送用HDビデオの色空間です。「Rec.1886」は、モニターで使用されることが想定されているEOTF伝達関数を指し、ITU-R BT.1886で定義されています。基本的にガンマ2.4です。

REDのクリップにはLog3G10 REDWideGamutRGBがタグ付されています。ビューポートは、ACES 2.0 – SDR 100 nits (Rec.709)です。

Bypassすると変化するので、ビューポートとサムネールがトーンマッピングから表示変換しています。

ビューポートとサムネールの大半は、ACESカラースペースやデジタルシネマカメラのシーン参照色空間から、モニターへの表示としてディスプレイ参照色空間に変換されます。この場合、オリジナルクリップの色の値は変更されません。

ARRI LogC4クリップもACES SDRへトーンマッピングして表示。

Sony SLog3クリップもACES SDRへトーンマッピングして表示。

ACEScgクリップもACES SDRへトーンマッピングして表示。

ビデオクリップ(Rec.709)は、Video (colorimetric)。

Bypassしても変化しないので、ビデオクリップはトーンマッピングによる表示変換はしていません。

Video (colorimetric)

ディスプレイ参照色空間のカラーメトリック(比色分析)を正確に表示します。ビデオカラースペースでのみ使用できます。

Display(アウトプット)がRec.1886 Rec.709 – Displayの場合、ACEScgやARRI LogC4などのシーン参照色空間にあるクリップは、ViewエディタのAllowed Colour SpaceがAny Scene-linear or Logなので、ACES 2.0 – SDR 100nits (Rec.709)に表示変換されます。

Display(アウトプット)がRec.1886 Rec.709 – Displayの場合、Rec.709やsRGBなどのディスプレイ参照色空間にあるクリップは、ViewエディタのAllowed Colour SpaceがAny Videoなので、Video (colorimetric)から表示されます。

Display (アウトプット)とView Transform

Display(アウトプット)をRec.2100-HLG – Displayに切り替えます。

ビューポートがACES 2.0 – HDR 1000nits (P3 D65)に切り替わりました。

Flameのアウトプットに紐づいたビュートランスフォームがオートで選択されます。

ViewエディタのACES 2.0 – HDR 1000nits (P3 D65)の下にACES 2.0 – HDR 1000nits (Rec.2020)がありますが、Allowed DisplayはRec.2100-PQ – Displayが選択されています。

Rec.2020の方がより広い色域をカバーします。

Rec.2020に切り替える必要があれば、Allowed DisplayからRec.2100-HLG – Displayを選択してください。

ビューポートから、ACES 2.0 – HDR 1000nits (Rec.2020)を選択することができます。

右下のReset Viewsボタンから変更したViewエディタをリセットすることができます。

Viewエディタの編集を行うと、設定の一部がコピーされ、そのコピーに編集内容が適用されます。編集内容はプロジェクトに保存されます。

config.ocioファイルのインポート

プロジェクト管理ウィンドウのManageボタンからManage Projectに移動します。

From Fileからダウンロードしたreference-config-v3.0.0_aces-v2.0_ocio-v2.4.ocioを選択。

右下のModifyボタンから変更します。

Reset Colour Policyのウィンドウが表示するので必ずYesボタンを選択してください。

ベースは同じコンフィグファイルなので大きく違いはありません。

一部並びが違う箇所があります。

OCIOの強みの一つは、さまざまなアプリケーションやディスプレイシステム間で一貫性のある正確な色表現が可能になり、制作パイプラインの最初から最後まで、意図したとおりの色彩表現が実現できます。

ビデオクリップが、Video (colorimetric)ではなく、ACES SDRに表示変換しています。

表示変換の影響から全体に暗くなっています。

ビューポートからRawが選択できるので切り替えてみます。

Video (colorimetric)と同じレベルになりました。

Viewエディタのリストを確認すると、Video (colorimetric)がない…。

Viewingルールを追加

Create View(以前のリリースではCreate Rule)ボタンからルールを追加。

以前のリリースと同じ手順でビューイングルールを追加することができます。

Viewエディタから追加したルール(Video)をビューポートから選択。

OCIOワークフローの場合、Flame以外のアプリケーション間でのワークフローも考えられます。Flameデフォルトのconfig.ocio以外の場合、ビデオクリップの運用には注意が必要です。

config.ocioの書き出し

Viewエディタ左下にOCIO Config Exportがあるので、ネームフィールドに書き出す名前を設定します。設定後、Exportボタンをクリックすると、Createdが下に表示します。

Viewエディタから追加したルールを削除します。

Manage Projectに移動。

OCIO ConfigからFrom Fileに切り替えてBrowseボタンを選択。新規にエクスポートすると、
/opt/Autodesk/shared/colour_mgmtにconfigsディレクトリが追加されます。

configsに移動すると、エクスポート時に設定した名前のディレクトリが追加され、その中にあるconfig.ocioファイルを選択します。

ファイルパスが登録されました。

Modifyボタンから変更を終了します。

プロジェクトを開くと追加したビューイングルールを確認することができます。

Working Colour Space

Manage Project > OCIO ConfigからFlameデフォルトのACES 2.0を再度選択してプロジェクトを開きます。

Batch Node BinからColour SourceノードをBatch Schematicに追加します。

ホワイトレベルが100%ではありません。

Tagged Colour SpaceからACEScgがタグ付されています。

Tagged Colour SpaceをRec.1886 Rec.709 – Displayに切り替えます。ビューポートはVideo (colorimetric)になります。

ホワイトレベルが100%になりました。

Preferences > Project > Colour Managementの左上にあるWorking Colour SpaceはACEScgが選択されているので、Rec.1886 Rec.709 – Displayに変更します。

Working Colour Spaceは、Batch Node BInにあるノードに影響します。

Colour Sourceノードを削除して再度Batch SchematicにColour Sourceノードを追加します。

Tagged Colour SpaceがRec.1886 Rec.709 – Displayでダグ付されてBatch Schematicに追加されます。

新規にプロジェクトを作成するとWorking Colour Spaceは必ずACEScgになるので、プロジェクト作成後に変更するようにしましょう。

Media Export (View Transform)

ACEScgクリップをQuickTimeムービーでエクスポートしますが、ビューポートとサムネールのみACES SDRにトーンマッピングされて表示変換しているので、エクスポート時にディスプレイ参照色空間にトーンマッピング(View Transform)する必要があります。

修正した素材をCGやグレーディングにデリバリーするのであれば、ディスプレイ参照色空間にトーンマッピングをする必要はありません。

ExportウィンドウにあるShow Advanced Optionsから設定します。最初にColorSync Compatibleは解除してください。次に、Use LUTボタンを選択してください。

FormatからView Transformに切り替えてEditボタンを選択します。

DisplayがRec.1886 Rec.709 – DisplayなのでビューポートはVideo (colorimetric)になります。

View(以前のリリースではView Transformでした)がFrom Rulesになっています。クリックすると、ACES 2.0 – SDR 100 nits (Rec.709)がチェックされていることが確認できます。

ビューポートと同じトーンマッピングからACEScgクリップをビデオクリップにトランスフォームしたことになります。

EXITボタンからExportウィンドウに戻りエクスポートを実行します。

2026からFile Colour SpaceがClip Infoに追加されています。ビデオクリップとしてエクスポートされていることが確認できたのでFlameにインポートします。

ACEScgクリップはACES SDRでビューポートがトーンマッピングから表示変換。

ビデオクリップはトーンマッピングからの表示変換は行わずビューポートに表示。

どちらも見た目は同じです。

シーケンスタイトルワーク

城さん

OCIOワークフローの場合、ACEScgやARRI LogC4などのシーン参照色空間にあるクリップがトーンマッピングされますが、シーケンスに配置してタイトル素材を追加した場合はどうなるのでしょうか?

シーン参照色空間のクリップからシーケンスを追加しました。

タイトル素材はPNGファイルになります。From File or Rulesから確認すると、File Colour SpaceはUnknownですが、Rec.1884 Rec.709 – Displayがタグ付されています。

ビデオトラックを追加してタイトル素材をインサートすると…。

ビューポートがVideo (colorimetric)になり、シーン参照色空間のクリップがトーンマッピングから表示変換されません。

タイトル素材のカラースペース(上のトラック)が優先されるので、エクスポート時と同じで、シーン参照色空間のクリップをビュートランスフォームする必要があります。

タイトル素材のビデオトラックを削除してGapセグメントを選択。

GapセグメントにColour Managementノードを追加します。

Colour TransformからView Transformに切り替えてください。

DisplayはRec.1886 Rec.709 – Displayなので、ビューポートはVideo (colorimetric)になります。

Viewを確認すると、From Rulesが選択されていますが、ビューポートと同じACES SDRからVideo (colorimetric)にトランスフォームされていることになります。

ビデオトラックを追加してタイトル素材をインサートすることで、ディスプレイ参照色空間でのフローになります。

ビデオトラック2に追加したビュートランスフォームの影響からビデオクリップ(ディスプレイ参照色空間)のレベルが変化しています。

ビデオクリップにビュートランスフォームは必要ないのでGapセグメントを修正します。

OCIOワークフローを簡単にまとめてみましたが、シーン参照色空間とディスプレイ参照色空間を意識して作業する必要があります。