アナログ風な言い方になりますが、輝度信号やクロマ信号の確認のため多くのユーザーの方々が外部波形モニターを使われていると思います。近年、ACEScgに撮影素材をトランスフォームしてCGスタッフへデリバリーなどの作業が増えていますが、間違いにすぐ気づけるようにScopesを使って確認するワークフローをアップします。

Viewingルール

撮影素材はARRI LogC4/ARRI Wide Gamut4です。CGスタッフからACEScgでお願いされているので、Input Transformからトランスフォームしています。

ビューポートが暗くて女性の表情が見えない。Preferences > Colour Managementからビューイングルールを追加します。

アウトプットはRec.709。2つのビューイングルールを追加しました。

LogC4 to Rec.709のLUTはARRIのサイトからダウンロードしました。ACEScg to Rec.709は、View Transform > ACES Output > ACES1.0 SDR videoを使っています。

LogC4クリップを選択。ビューイングルールで追加したLogC4 to Rec.709をビューポートから選択。

Colour Managementノードを選択。ビューイングルールで追加したACEScg to Rec.709をビューポートから選択。

メタデータコピー

Renderノードを追加します。

キーボードTキーからLogC4クリップのメタデータをRenderノードにコピーします。

ハイライト部分がクランプされました。

LogC4クリップは12bitなので、Renderノードのビットデプスが変更されたことが影響しています。Renderノードのビットデプスを16bit-fpに戻す必要があります。

ビューイングルールを追加してビューポートをRec.709で表示していたのでクランプに気付きましたが、ビューイングルールを追加していない場合はどうなるのでしょうか?

ビューポート Linearの場合

Colour Managementノードを選択。追加したビューイングルールではなくLinearで表示しています。

Renderノードを新規に追加。

キーボードTキーからLogC4クリップのメタデータをRenderノードにコピーします。ビットデプスは先ほどと同じで12bitになっています。

Colour Managementノード(16bit-fp)とRenderノード(12bit)はどちらも見た目は同じなので、間違いに気づかずレンダリングを行いOpenEXRで書き出すことになるでしょう。

Scopesを表示

見た目は同じ結果でもScopesから確認することで、違いを簡単に見つけられます。

先ほどのRenderノードからレンダークリップを作成してOpenEXRでエクスポートしたクリップをBatch Schematicにインポートしました。2-Upビューから3-Unビューに切り替えて左側にScopesを表示しています。

上はウェブフォーム、下はヒストグラムを表示しています。どちらも、1.0でクランプされています。

Colour Managementノードを選択すると、1.0以上にもデータ(情報)があります。

Renderノードを選択、ビットデプスが12bitのままになっています。

16bit-fpに切り替え。

カラーマネージメント設定がビデオであれば、外部波形モニターで確認することも可能ですが、特にリニアの場合は、0.0~1.0以上のデータを保持しているケースが多く見た目で判断することは危険です。常にScopesを表示する必要はなく、レンダークリップ作成前だけでも確認用途で表示してもいいのかなと思います。