前回は、Rec.709がDisplay-referredであり、レンズを通った光がRAWとして記録され、最終的にRec.709の映像になる流れを紹介しました。

このように、私たちが普段見ているRec.709の映像は、最初からRec.709だったわけではありません。

すべては、レンズを通った「光(Scene)」から始まります。

今回は、その最初の一歩である「光」から見ていきます。

光(Scene)とは?

Sceneという言葉を聞いたことがある方は多いと思います。

「Sceneって何?」と聞かれたら、「撮影された光」と考えてほぼ間違いありません。

私たちが見ている風景は、太陽や照明などの光が被写体に当たり、その反射光がレンズへ入ることで映像になります。

つまり、カメラが記録しているのは「物」そのものではなく、「被写体から届いた光」です。

この段階では、まだRec.709でもLOGでもありません。

あくまでも、撮影された光の情報が存在しているだけです。

レンズ

レンズの役割は、被写体から届いた光を効率よく集め、カメラセンサーへ導くことです。

レンズがRec.709の映像を作るわけではありません。

Scene


レンズ

カメラセンサー

カメラセンサーは、レンズを通ってきた光を電気信号へ変換し、RAWとして記録します。

なので、

レンズを通った時点でも、カメラセンサーに届いた時点でも、まだRec.709の映像ではありません。

レンズ


カメラセンサー

RAW

カメラセンサーが記録したRAWは、Display-referredではありません

RAW画像そのものは、映像ではないので、ディスプレイから確認することはできません

この後に行われるデモザイク(ディベイアリング)処理によって、映像として扱えるRGB画像へ変換されます。

カメラセンサー


RAW

デモザイク(ディベイアリング)

カメラセンサーが記録するRAWには、1画素ごとにRGBすべての色情報が記録されているわけではありません。

そこで、周囲の画素からRGBの色情報を補完し、映像として扱える画像へ変換する処理をデモザイク(ディベイアリング)と呼びます。

この時点でも、まだRec.709の映像ではありません。

デモザイク(ディベイアリング)後は、Scene-referred画像となり、ACESやLOGなどの色空間で扱われます。

RAW


デモザイク(ディベイアリング)


Scene-referred画像(ACES / LOG)

まとめ

ここまでで、レンズを通った光がRAWとして記録され、デモザイク(ディベイアリング)処理からScene-referred(光基準)の色空間に変換されることが分かりました。

しかし、デモザイク(ディベイアリング)後の映像は、まだ私たちが普段見ている映像ではありません。

では、どうやってRec.709の映像になるのでしょうか。

次回は、その答えとなる表示レンダリング(トーンマッピング)について説明します。