Scene-referred(光基準)と、Display-referred(表示基準)の流れをここまで確認してきました。

実際に、FlameのColour Managementノードからどのようにセットアップしていくのか、

Input TransformとView Transformの運用の違いも同時に確認していきます。

Input Transformの運用

Batch SchematicにACES2065-1イメージファイルをインポート。

インポートされたACES2065-1イメージファイルは、RAW画像からデモザイク(ディベイアリング)されたScene-referred(光基準)の画像になります。

上のColour Managementノードは、Input Transformを選択しています。

この場合、2つのドロップダウンを選択することができます。

  • Input Colour Sopace
    フロント入力のカラースペース(ACES2065-1)
  • Working Space
    光の情報を保持したまま、目的のカラースペースにデコード

Input Transformから表示レンダリング(トーンマッピング)することはできません

  • ACES2065-1 > LogC4 / ARRI Wide Gamut 4
  • SLog3 / SGamut3 > ACEScg など

このように、Input Transformは、光の情報(Scene-referred)を保持したまま作業用のカラースペースへ変換することが目的のモードになります。

View Transformの運用

一方、View Transformは目的が異なります。

下のColour Managementノードは、View Transformを選択しています。この場合、3つのドロップダウンを選択することができます。

  • Tagged Colour Space
    フロント入力のカラースペース(ACES2065-1)
  • View Transform
    表示レンダリング(トーンマッピング)
  • Display
    ディスプレイに合わせた色域とガンマを適用

このように、View Transformでは、表示レンダリング(トーンマッピング)を行い、ディスプレイに表示するための色域とガンマへ変換させるモードになります。

なぜ、ACES 1.0 SDR-video(表示レンダリング)を選択するのか?

View Transform(モードのView Transformではなく、3つのドロップダウンの真ん中)からACES 1.0 SDR-videoを選択しています。表示レンダリング(トーンマッピング)から、Rec.709の輝度レベルにマッピングさせるためです。

今回確認しているFlameのバージョンですが、OCIOに対応していない2025になります(2026以降はACES 2.0)。

このバージョンでは、Rec.709の輝度レベルにマッピングさせる表示レンダリング(トーンマッピング)のプリセットが3つあります。

  • ACES 1.0 SDR-video
  • ACES 1.0 SDR-video (D60 sim on D65)
  • ACES 1.1 SDR-video (Rec.709 limited)

Scene-referred(光基準)からDisplay-referred(表示基準)へのベーシックなワークフローになります。

LOG素材などの場合、表示レンダリング(トーンマッピング)にLUTを追加した運用も可能です。

次に、この流れの逆プロセスになる逆表示レンダリング(インバーストーンマッピング)を確認してみましょう。

逆表示レンダリング(インバーストーンマッピング)

Display-referred(表示レンダリング)からScene-referred(光基準)に戻す場合も、表示レンダリング(トーンマッピング)が必要になることは以前の記事でも確認しています。

Colour Managementノードを、Display-referred(表示基準)の後に追加。

Mode > View Transformを選択。一番下のドロップダウンはDisplayです。

この場合、一番下のDisplayから、Scene-referred(光基準)を選択することができません

Modeの下にあるInvertボタンを選択すると、ドロップダウンのTagged Colour SpaceとDisplayが逆の位置(スワップ)へ移動します。

View Transformドロップダウンから、ACES 1.0 SDR-videoを選択。

一番下に移動したTagged Colour Spaceドロップダウンから、ACES2065-1を選択。

オリジナル ACEScgイメージファイル

逆表示レンダリング(インバーストーンマッピング)

完全に一致はしていませんが、ほとんど同じ状態でインバーストーンマッピングできました。

なぜ、同じ状態に戻るのか?

オリジナルのACES2065-1イメージファイルから逆表示レンダリング(インバーストーンマッピング)まで、
浮動小数点数(フローティングポイント)の空間から変換しているので、データのロストが基本ない状態でインバースすることができます。

表示レンダリング(トーンマッピング)したイメージを、8bitなどの整数で書き出し、逆表示レンダリング(インバーストーンマッピング)を実行すれば、データはロストします。

表示レンダリング(トーンマッピング)後のRec.709の映像を、DPXファイル8bit(整数)で書き出したイメージをBatch Schematicにインポート。

逆表示レンダリング(インバーストーンマッピング)しているColour Manegemantノードを複製。

2つのヒストグラムを比較すると、完全に一致していないことが確認できます。

前の記事にもあるように、逆表示レンダリング(インバーストーンマッピング)は、Rec.709の映像を元のRAWデータへ復元する技術ではありません

ここまでの流れから、逆表示レンダリング(インバーストーンマッピング)できることは確認しました。

ただ、ビューポートからはレベルがそれぞれ違う結果で表示しています。

次は、ビューポートについて確認します。

ビューポートの表示レンダリング(トーンマッピング)

ビューポートでは、それぞれ全く異なる見え方になっています。

表示レンダリング(トーンマッピング)しているColour Managementノードのビューポートは、Video *です。

逆表示レンダリング(インバーストーンマッピング)しているColour Managementノードのビューポートは、Linear *です。

どちらも、ACES 1.0 SDR-videoから表示レンダリングをしていますが、ビューポートにも同じ表示レンダリング設定をする必要があります。

Preferences > Colour Management > Viewing Rulesタブから、タグ付けされたクリップのビューポート表示がルール化されています。

それぞれのトーンマッピングと同じ結果になるように、ビューポートをACES 1.0のカラーポリシーに切り替えます。

カラーポリシーは、インプットとビューイングがセットになっているので、Input Rulesタブを選択して、
右下にあるImport Rulesボタンをクリックします。

プロジェクト作成時にカラーポリシーを意識していない場合、Legacyカラーポリシーがプロジェクトにロードされます。

ACES 1.0のカラーポリシーをダブルクリックすると、2つのファイルがあります。

  • syncolorFileRules : インプットカラーポリシー
  • syncolorViewong Rulrs : ビューイングカラーポリシー

Input Rulesタブを選択しているので、syncolorFile Rulesをクリック。

ACES 1.0のインポートルールファイルがロードされます。

次に、Viewing Rulesタブを選択して右下のImport Rulesボタンをクリックします。

syncolorViewingRulesをクリックします。

ACES 1.0のビューイングルールファイルがロードされます。

今回は、ホワイトポイントD60は必要ないので、ACES 1.0 SDR-video (D60 sim)のチェックマークをクリックして、
ビューポートから選択できないように非表示設定にします。

逆表示レンダリング(インバーストーンマッピング)のColour Managementノードの出力は、ACES 1.0 SDR-videoになります。

表示レンダリング(トーンマッピング)のColour Managementノードの出力は、Video(colorimetric)になります。

  • Video (colorimetric)
    直訳すると比色。Rec.709やRec.2020、DCI-P3などの色域を正確に出力します。

オリジナルのACES2065-1イメージファイルの出力も、ACES 1.0 SDR-videoになります。

  • ACES 1.0 SDR-video : Allowed Displays > SDR video
    シーンリニアまたはログがタグ付けされたクリップの場合、SDRディスプレイでACES 1.0 SDR-videoが使用されます。
  • Video(colorimetric) : Allowed Displays > Any
    ビデオがタグ付けされたクリップの場合、すべてのディスプレイでVideo(colorimetric)が使用されます。

この2つのクリップは、ビューポート上ではほぼ同じ見え方になりますが、表示方法が異なります。

  • Video(colorimetric)
    表示レンダリング(トーンマッピング)の結果をベイクしてビューポートに表示
  • ACES 1.0 SDR-video
    逆表示レンダリング(インバーストーンマッピング)の結果をビューポートのみに適用 (View LUT)

まとめ

これまで説明してきたScene-referredからDisplay-referredまでの流れですが、View Transformの3つのドロップダウンとして実装されています。

今回は、2025から確認していますが、2026以降ではOCIO/ACES 2.0へ移行します。

内部で行われている考え方は同じです。

2025でこの流れを理解しておくことで、2026以降のOCIO/ACES 2.0環境でも、

Colour Managementの考え方をそのまま応用できるようになります。